油なめしとは? オイルレザーとの違いとセーム革の選び方

油なめしは、魚油などを使って皮を革にする製法で、セーム革が代表例です。 油分を多く含むオイルレザーとは、呼び方が示す内容が異なります。 天然セームと合成セームの素材表示を比べ、製品ごとに洗浄と乾燥の条件を確認します。

淡いベージュの柔らかな拭き革と、折り畳んだ青いスポンジ状のクロス
拭き革とスポンジ状クロス(イメージ)

油なめしと加脂を分ける

油なめしは、魚油などを使って皮をなめす製法です。 日本皮革産業連合会の用語辞典は、柔らかな革に用いられる製法として説明し、代表例にセーム革を挙げています。 革を作る段階の処理なので、購入した財布に手入れ用オイルを塗る行為とは区別します。

オイルレザーは、通常より多くの油分を含ませた革の総称です。 油分を加える加脂と、皮をなめす工程は同じ意味ではありません。 商品名に「オイル」があっても、それだけで油なめしの革と判断しないでください。

天然セーム革と合成セームの素材表示

天然セーム革は、動物の皮をなめして作る柔らかな拭き革です。 日本皮革産業連合会の「セーム革」の解説には、シカ、ヒツジ、ヤギなどの皮をアルデヒド鞣剤とタラ肝油でなめした革とあります。 なめし剤を併用する説明もあるため、名称から原料や工程を一つに決めないことが必要です。

一方、合成セームと呼ばれる拭き取り材には、動物の皮を使わない製品があります。 例えばアイオンの「プラスセーヌ」は、PVAスポンジにポリエステルの芯材を組み合わせた製品です。 油なめしの革とは素材が違うので、買う前に材質欄と取扱説明を見ます。

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確認する項目天然セームの製品例合成セームの製品例
製品と素材エツミ「セーム革 S(E-5334)」。天然鹿革を油なめししたクロス。アイオン「プラスセーヌ」。PVAスポンジとポリエステルの芯材。
乾燥時の扱い洗った後は陰干しし、半乾きのときによくもんでから乾燥させる案内。乾くと硬くなる。使う前に水かぬるま湯に浸し、柔らかくして絞る案内。
長く使わないとき洗浄後の乾燥手順を確認する。直射日光やヒーターを避ける。同社Q&Aでは、数日以上使わないときはよく絞り、自然乾燥して保管する案内。

天然セーム革の洗い方も、合成セームの保管方法も、品番ごとの説明書に合わせてください。 同じ素材名でも、別製品へ同じ手順を当てはめないようにしましょう。

買う前に確認する用途と説明書

クロスを使える面は、拭き取り材と拭かれる物の両方の取扱説明で確かめます。 エツミの製品案内には、カメラ本体や光学機器の鏡胴などの用途が示されています。 これを「どのレンズ面やコーティングにも使える」という意味には広げません。 洗車用のクロスを眼鏡や革バッグに転用する場合も、用途名だけで決めないでください。

  • 材質欄に天然鹿革などの動物名があるか、PVAなどの素材名があるかを見る。
  • 使う面を具体的に決める。 カメラの鏡胴とレンズ面、車の塗装面と車内の革張りは、それぞれ別の対象として確認する。
  • 洗剤、洗い方、乾燥方法が書かれた説明を購入前に読めるか確かめる。 販売店が材質や品番を示せない場合は、購入をいったん保留する。

問い合わせる場合は「品番○○を、○○の表面に使いたいです。材質、使用できる面、洗剤の種類と乾燥方法を教えてください」と伝えると、確認する条件を揃えられます。

天然鹿革のクロスを洗う手順の例

エツミ「セーム革 S(E-5334)」の手入れ案内は、次の順序です。 ここで洗うのはこの拭き革であり、拭かれるカメラや革製品を水に浸す手順ではありません。

  1. 汚れたクロスを、洗剤を入れたぬるま湯に浸す。
  2. 軽くもみ洗いし、流水でよくすすぐ。
  3. 陰干しし、半乾きのときによくもみほぐす。
  4. その後、水分を残さず乾かす。 直射日光、ヒーター、熱湯、薬品類は避ける。

同ページには洗剤の種類や濃度の具体的な指定がないため、不明な場合はメーカーに確認します。 他社の天然セーム革や、革を含む完成品へこの手順を一律に当てはめないでください。

PVA製クロスが硬くなったときの確認

プラスセーヌは、乾燥すると硬くなる性質があります。 アイオンは、使用前に水またはぬるま湯で柔らかくし、よく絞るよう案内しています。 この製品では、乾燥時の硬さだけを劣化の判断材料にしません。

同社のQ&Aでは、数日以上使わない場合は絞って自然乾燥させ、濡れたままの保管によるカビに注意する案内があります。 天然鹿革の半乾きのときにもむ手順と、PVA製クロスを使用前に水で戻す手順を混同しないでください。

指定の手順で状態が戻らない、破れや汚れが残るなど、使用を続けてよいか迷う場合は、メーカーへ品番と状態を伝えて確認します。 素材を確かめずに保革油を足したり、強くこすって拭けるか試したりすることは避けます。

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